シジュウカラの戯れ　　　我が家の小鳥　　mossei HOME page 1

我が家の裏の小さな畑には、色々な小鳥がやって来る。
シジュウカラは声でやって来たことが分かる。ジュリッ、ジュリッと鳴きながら
枝から枝へと飛び回っている姿は、すぐに見付ける事が出来る。

　     
　
畑と隣家の間の塀の内側にはモミジを植えている。そのモミジには、切り捨て
るのが間に合わず生き残った蔓が巻きついたままになっていた。その蔓の鈴なりの実はシジュウカラの餌になったようだ。きっと美味しくなかったのだろう、食べ続けることはなかった。
そのあと、塀に飛び移って、塀の上にへばりついた枯葉か何かに興味を示していた。

　     

塀の屋根を成している板の裏側に、何か黒っぽいごみが蜘蛛の糸にでも
絡みついたのか、風に揺られてぶら下がっていた。
「ウウッ？こりゃ一体なんだ。食べられるものかも知れんぞ」
「食べられる筈、ないじゃん。単なるごみだよ」
下から覗いたり、近寄って観察したり、かなり気になる様子だった。
しかし、さすがに、嘴で突付いて食べようとはしなかった。

次に塀から柿の木に移動してきた。お目当てはどうも、落果せずに枝に取り残された
柿の実のようだった。この柿は甘柿のような形をしていて甘くない品種で、沢山成っても
採って食べることはあまりないのだった。
一つだけ枝先に残った柿の実が、皮を被ったまま乾燥してミイラのようになっていた。
吊るし柿の一種だ。シジュウカラは、先ず柿の実の下方の枝にやってきた。
そこで周囲をきょろきょろ見渡していた。警戒しているのだ。油断して食事中に外敵に襲
われては元も子もない。

　      
しっかり安全を確かめたあと、ぱっと柿の実に飛びついた。そしてあちこちを突付き回した。
「うーん、こりゃ硬いわい。中味は食べられそうにないぞ」
「おまえバカだよ。その柿に穴を開けたところで、その中には食べられるような昆虫の幼虫
など居るものか」
結局何も食べた様子もなく飛び去っていった。
ひょっとして、
シジュウカラは餌を探していたのではなく、珍しいものを見つけては、見たり、触ったり、
突付いたりして、研究していたのかも知れない。塀の上の動作を見ていても、そう感じられ
るのだ。

シジュウカラには、人間の子供のようなところがある。面白い鳥だ。戻る